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    「望洋」研修室より

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   以下の文章は、私が所属する神奈川県行政書士会川崎南支部の広報紙
「望洋」に9回にわたり連載されたものに若干の加除訂正を加えたものです。


「帰化許可申請の書類作成」

 帰化許可申請(以下帰化申請と略記する)では、通常の許認可申請手続き
と異り、書類作成そのものより添付書類の収集作業が主体となります。
そしてこの添付書類も申請者の状況によって種々異なってきますので、私達
行政書士としてはどの様な書類が必要であるのかを正確に理解することが必
要となります。
また、帰化が許可されるためには一定の条件を充たしていることが必要です
ので、依頼がきたときにはまず第一にそれを確認・判断しなければなりませ
ん。従いまして、この研修室ではその辺にポイントをおいて話を進めていき
たいと思います。

1、日本国籍取得の方法
 「帰化」とは、ご承知の通り外国人が日本国籍を取得することをいいます
 が、次のような場合には帰化申請の手続きによらないで日本国籍を取得で
 きます。

@〔準正による国籍取得〕
 日本人の父と外国人の母から生まれた子の場合は、父の認知及び父母の婚
 姻により嫡出子となるため、国籍法第3条により届出によって日本国籍を
 取得できます。(ただし昭和60年以降に生まれた20歳未満の子である
 ことが必要)
 なお、日本人の母と外国人の父から生まれた子の場合には、昭和60年以
 降に生まれた20歳未満の子であるならば非嫡出子であっても国籍法第2
 条により当然に日本国籍を取得します。
 また、昭和59年12月31日以前に生まれた子の場合は、特例措置によ
 り昭和62年12月31日までの間は20歳未満であれば届出により日本
 国籍を取得できましたが、現在は関係ありません。

A〔留保届をしなかった者の国籍再取得〕
 生地主義の国で生まれたり、国籍の異なる両親から生まれた子は2つ以上
 の国籍を持つことになりますが、日本政府は重国籍の子が外国で生まれた
 場合のみ、日本国籍を放棄するかしないかを生後3ケ月以内に明確にする
 ことを法律で定めています。(国籍法12条)これを国籍留保制度と言い
 ますが、この国籍の留保をせずに日本国籍を失った子が、その後日本に住
 むことになった場合、20歳になるまでであれば法務局に届け出るだけで、
 日本国籍を再取得することができます。(国籍法17条1項)

B〔官報催告を受け、国籍を選択しなかった人の国籍再取得〕
 重国籍者は、20歳になる以前に重国籍となった場合は22歳までに、
 20歳になった後で重国籍となった場合はその時から2年の間に、日本国
 籍か外国籍のいずれかを選択しなければなりませんが、期限内にこれをし
 ない者に対して法務大臣は書面により催告することができます。
 ただし所在不明等の事情により書面による催告ができないときには官報に
 掲載してすることができるとされています。
 そしてこの書面による催告・官報による催告に対し、1ケ月以内に国籍の
 選択をしない場合には日本国籍を失うことになりますが、官報による催告
 を受け、国籍の選択をしなかったことにより日本国籍を失った人の場合に
 は、その失ったことを知った時から1年以内であれば法務局に届け出るこ
 とによって日本国籍を再取得することができます。(国籍法17条2項)
 以上のようにして届出が受理されますと、暫くして国籍取得の知らせがあ
 り、法務局へ出向き国籍取得証明書を受けとります。
 その後1ケ月以内に住居地の市区町村役所で国籍取得届をすることになり
 ます。(戸籍法102条)

 今まで述べてきたようなケースに該当しない人が日本国籍を取得しようと
する場合に初めて帰化申請の手続きが必要となります。
例えば、結婚していない日本人の父と韓国人の母との間に生まれた子につい
ては、たとえ父が子を認知していても正式な婚姻が為されていなければ日本
国籍を取得することは出来ず、帰化申請の手続によらなければなりません。


2、帰化申請の条件
 国籍法の第5条から第9条にわたり帰化の許可条件が規定されております
が、これは申請手続に携わる私達の側からみれば、帰化申請のための条件と
捉えることができます。すなわち、帰化申請についての依頼がきた場合に、
まずこれらの条件をすべて満たしているかどうかをチェックすることが必要
となります。これらの条件を1つでも欠く場合には、せっかく書類を作って
も申請を受理されないか、また仮に受理されたとしても許可は下りないこと
になります。従って、書類作成の前提としてこの条件のチェックは慎重・的
確に行うようにすべきです。

 それでは具体的に帰化の条件についてご説明していきたいと思います。
@[条文の構成]
 まず、国籍法第5条から第9条までの5つの条文の関係を見ていきますと、
 第5条を便宜上「普通帰化」といい、第6条以下を「簡易帰化」といいま
 す。第5条には6つの帰化許可条件が掲げられていますが、これが原則と
 なります。そして種々の例外的状況に応じて、第6条以下順次条件が緩和
 されていくという構成をとっております。すなわち、条文が上がるほど条
 件は少なくなっていきます。従って、実際の業務依頼があったときは、第
 9条から下がっていく方向で見ていく方が条件をチェックし易いのではな
 いかと思います。私はこの5つの条文のケースごとに対応する条件を分類
 した表を作り、第8条から(第9条に該当するケースはまずありません)
 順次下がっていく方向でチェックするようにしております。

A〔ケース1(第8条)〕
 「イ、日本国民の子(養子を除く)で、日本に住所を有する者 ロ、日本
 国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組のとき本
 国法により未成年であった者 ハ、日本の国籍を失った者(日本に帰化し
 た後、日本の国籍を失った者を除く)で、日本に住所を有する者 ニ、日
 本で生まれ、かつ、出生のときから国籍を有しない者で、そのときから引
 き続き3年以上日本に住所を有する者」のうちのいずれか1つに該当する
 場合には、「a、素行が善良であること b、国籍を有せず、又は日本の
 国籍の取得によってその国籍を失うべきこと c、日本国憲法施行の日以
 後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊すること
 を企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加
 入したことがないこと」の3つの条件すべてを満たすことが必要となりま
 す。
 aの「素行が善良であること」とは、刑事罰は勿論のこと、交通違反のよ
 うな行政罰にも注意する必要があります。犯情等により違いがあるため
 はっきりとはいえませんが、交通違反等の軽微なもので直前3年位、窃盗
 程度の犯罪で10年位が審査の対象期間となるようです。
 bの条件については大部分の国が、自国民が外国に帰化すると当然に国籍
 を失うとされているため特に問題はありませんが、未成年者については国
 籍の喪失を認めない国(ブラジル・ベルギー・インド等)もありますので
 注意が必要です。また、難民のように国籍の離脱手続を実際上とれない場
 合には、第5条第2項により救済されることとなります。ただしこの場合
 は重国籍となるため、前号で述べた「国籍の選択」が必要となります。

B〔ケース2(第7条)〕
 「イ、日本国民の配偶者である外国人で、引き続き3年以上日本に住所又
 は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者 ロ、日本国民の配偶者
 である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日
 本に住所を有する者」のうちのいずれか1つに該当する場合には、第8条
 の3つの条件の他、更に「d、自己又は生計を一にする配偶者その他の親
 族の資産又は技能によって生計を営むことができること」という条件が加
 わります。「生計を一にする」とは、仕送りのように同居していない場合
 も含まれると解されています。

C〔ケース3(第6条)〕
 「イ、日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本
 に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者ロ、日本で生ま
 れた者で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本
 に住所を有する者 ハ、日本で生まれた者で、その父若しくは母(養父母
 を除く)が日本で生まれた者で、現に日本に住所を有する者 ニ、引き続
 き10年以上日本に居所を有する者で、現に日本に住所を有する者」のう
 ちのいずれか1つに該当する場合には、第7条の4つの条件の他、更に
 「e、20歳以上で、本国法によって能力を有すること」という条件が加
 わります。「本国法によって能力を有する」とは通常本国法上成年に達し
 ていることと考えればよいと思います。なお、未成年者の場合、親と一緒
 に申請すれば、親の帰化が許可された時点で第8条1号の「日本国民の子」
 ということになるため許可が認められます。

D〔ケース4(第9条)〕
 「日本に特別の功労のある外国人」の場合は特に条件はなく、法務大臣が
 国会の承認を得て、許可することができるとされています。

E〔ケース5(第5条)〕
 「第6条から第9条のいずれにも該当しない者」の場合は、第6条の5つ
 の条件の他更に「f、引き続き5年以上日本に住所(居所ではない)を有
 すること」という条件が加わります。この5年間という期間は、中断があ
 ればその時点から再び起算することになります。


3、帰化申請の必要書類
 帰化申請の必要書類及び書類作成にあたっての注意点等についてご説明し
たいと思います。最初にも申し上げました通り、帰化申請では書類作成その
ものよりも添付書類の収集作業が主体となります。そして私達行政書士の仕
事も、依頼者に対する必要書類の指示・証明書類の請求手続き等が中心とな
ります。必要書類の種類や書類の書き方については最寄りの法務局へ行けば
手引き及び用紙をセットで売ってくれますので、これを見れば大体分かるこ
とと思いますが、実際の業務を通して気の付いた点等を若干述べたいと思い
ます。

@[生計の形態による区別]
 申請者が事業所得者であるか、給与所得者であるか、又はそれ以外の者で
 あるかによって必要書類の種類・数等が異なってきます。ここで言う事業
 所得者とは、会社経営者や個人事業経営者はもちろんですが、父母・兄弟
 などが代表者である会社の取締役である場合も含まれるものとされていま
 す。そして本人又は生計を一にする親族がこの様な事業所得者である場合
 にはその事業ごとに、その事業に関する概要書・確定申告書控・決算報告
 書・その事業に関する納税証明書・会社登記簿謄本等が余分に必要となり
 ます。本人に所得が無い場合にも生計を一にする親族に所得があれば申請
 は可能ですし、その様な場合にはその親族の所得・資産に関する書類の添
 付が必要となります。

A[申請者の数による区別]
 申請者が1人の場合と家族全員が一緒に申請する場合とでは、当然、書類
 の種類・数等も異なってきます。家族全員が帰化要件を充たしているよう
 な場合には、書類の作成は大変でも全員一緒に申請するほうが結果的には
 効率的ですし、法務局でもその様に指導しています。なお家族単位で申請
 する場合には、親族の概要書・生計の概要書・戸籍謄本等は1つにまとめ
 て添付すれば足りますが、その他の書類は原則として各人が個々に本人と
 いう立場で添付することが要求されます。
 例えば夫婦2人と子供(未婚)2人の計4人が一緒に申請する場合を考え
 てみます。必要書類の中に戸籍届書記載事項証明書というのがありますが、
 これは日本において出生・婚姻(父母を含む)・離婚・死亡(父母・配偶
 者・子)・認知・養子縁組・親権者変更等の身分行為が為され、かつ日本
 の市町村役場へその届出をしている場合に必要とされる書類で、通常それ
 ぞれの届出書を市町村役場でコピーし、それに証明印を押して交付してく
 れるものです。(日本人の届出書の場合は、届出後しばらくして法務局に
 まわされ、数年後廃棄されるそうですが、外国人の場合はそのままずっと
 届出た市町村役場に保管されます。)
 右の家族の場合、自分達夫婦の婚姻届の記載事項証明書はもちろん必要で
 すが、それぞれの両親が日本で婚姻している場合にはその記載事項証明書
 も必要となります。出生届に関しては家族4人全員の分が必要となります
 が、もし届出書が廃棄されており記載事項証明がとれないような場合には、
 その旨を記載した「廃棄証明」等を出してもらえばよいと思います。
 夫婦の親が日本で死亡している場合にも、そのそれぞれについて記載事項
 証明書が必要となります。

B[国籍による区別]
 能力・国籍・身分関係を証明するため、本国の証明書が必要とされますが、
 申請者の国籍によって証明書の種類が異なります。
 韓国人・台湾系中国人の場合は、本国の戸籍謄本がこの証明書となります。
 韓国の場合、下付申請書に国際返信切手を一〇枚ほど同封して請求すれば、
 通常2〜3週間で送ってくれます。
 台湾の場合は、日本とは正式な国交がないため、台湾政府の代表機関であ
 る亜東関係協会(港区東麻布)に請求することになります。
 本土系中国人の場合は、申請者本人の国籍証明書・出生証明書・婚姻証明
 書、父母の婚姻証明書、親子関係証明書等を大使館又は領事館から取り寄
 せます。
 フィリピン人の場合は、申請者本人の出生証明書・婚姻証明書、父母の婚
 姻証明書等を登録事務所等から取り寄せることになります。

C[日本の戸籍(除籍)謄本]
 申請者の配偶者(内縁・婚約者を含む)・父母が日本人であるときは、そ
 の戸籍謄本が必要となります。また申請者の父母が日本人であったときに
 は、その除籍謄本が必要となります。なお申請者の親・配偶者・兄弟姉妹
 が帰化している場合には、帰化事項の記載のある戸籍(除籍)謄本の添付
 が要求されます。


4、帰化行政の現状について
 前回までは帰化の要件及び必要書類等につき形式的側面からの説明をして
参りましたが、今回からは実質的な面から掘下げて捉えてみたいと思います。

@【帰化の意義】
 帰化ということを厳密に考えてみますと、「外国人が内国籍を後天的に取
 得することであり、本人の志望と国家の許可による個別的な国籍の取得」
 というふうに定義付けることができると思います。ここにいう外国人とは
 無国籍者も含み、「後天的に」国籍を取得する点において、出生に基づく
 国籍の先天的取得とは異なります。
 また「個別的な」国籍の取得という点において、一定範囲の人々が集団的
 に国籍を取得・喪失する条約による「国籍変更」とは異なるものといえま
 す。

A【帰化行政の特徴】
 帰化行政ということを考えるとき、次の点が重要なポイントとなります。
 それは帰化を許可するか否かは国家の絶対的な自由裁量に委ねられている
 ということです。外国人に本来帰化の権利というものはなく、あくまでも
 国家が国益を基準として帰化の可否を自由に決定できるものであると考え
 られています。通常の許認可の申請とはこの点において決定的な違いがあ
 るため、書類作成に携わる行政書士としても充分に認識しておく必要があ
 ります。また申請者本人も日本に生まれ日本に育ち、他の日本人と同様の
 生活をしているという普段の感覚から、当然に帰化する権利があるものと
 勘違いしているケースがありますが、より速やかに許可を受けるという観
 点からは、この辺の認識を改める必要があると思います。このような行政
 の在り方の是非の判断はともかくとして、現実の帰化の許可というものは
 本来権利を有しない外国人に対して恩恵的に与えられるものであるといえ
 ます。従って帰化行政というのは形式的には法務省民事局の国籍処理事務
 の一つにすぎませんが、実質的には出入国管理行政と同様に日本政府の外
 国人処遇政策の一環をなすものであると捉えることができます。
 なお出入国管理行政においては日本に入国しようとするあらゆる外国人を
 対象としておりますが、帰化行政では国籍法上、日本と一定の深い地縁・
 血縁・身分関係を有している外国人に限定されるものといえます。そして
 実際上、大部分が在日朝鮮人であるため(帰化申請者及び帰化許可者の
 90%は在日朝鮮人)、日本の帰化行政は必然的に在日朝鮮人処遇政策と
 しての性格を持つことになるといえます。また法形式上、出入国管理行政
 はあくまでも外国人を管理するという立場から入国管理局及び入国管理事
 務所によって事務が執り行なわれておりますが、帰化行政では在留外国人
 の権利を拡大し利益を与えるもの(すなわち外国人向けのサービス業務)
 という観点から民事局及び法務局戸籍課(又は国籍課)により行われ、法
 務民事行政事務の一つにすぎないという外観を呈しております。
 また帰化行政については閉鎖的色彩が強いとよくいわれますが、統計数字
 や審査規準が充分に公表されない点においてその傾向がうかがえます。
 その原因としては立法上の原因と政策上の原因とがそれぞれ考えられます
 が、まず立法上の原因の一つに実質上の許可基準が法文上に客観化されて
 いないことから生じる行政の不透明さということが挙げられると思います。
 国籍法の第5条から第9条に帰化の形式的条件が掲げられていますが、こ
 れらの規定の仕方は「法務大臣は〜でなければ帰化を許可することができ
 ない」とか「法務大臣は〜でも帰化を許可することができる」となってお
 り、ここに掲げる帰化条件を具備している場合でもなお法務大臣の自由裁
 量によることを示しております。すなわち法文に明定されたこれらの条件
 は、必要条件ではあっても決して充分条件ではないということです。
 また立法上の原因として、手続がほとんど法定化されていないということ
 も挙げられるかと思います。国籍法施行規則の第2条に大雑把な手続的規
 定があるだけで、実際の事務処理の細目については数多くの通達(非公開)
 によってまかなわれているのが現状のようです。
 次に政策上の原因について考えてみたいと思います。
 先ほど、日本の帰化行政は必然的に在日朝鮮人処遇政策としての性格を有
 している旨述べましたが、その内容について穿った推測をするならば、在
 日朝鮮人社会を分断して、その民族的団結を破壊し、かつ将来における在
 日朝鮮人の少数民族化を防ぐための同化(日本人化)政策であると意義付
 けることができると思います。
 この様に高度な政治的色彩を帯びる政策を心裡留保しているがゆえに政府
 としてはことさら受身の仕事であるという姿勢をとり、帰化行政を閉鎖的
 なものに至らしめているということが考えられます。また朝鮮人を日本社
 会に迎え入れることに対する日本国民の民族的偏見からくる感情的反発を
 避けるために、やはり受身のポーズをとらざるを得ないということも原因
 の1つとして考えられます。
 この様に帰化行政は政策的配慮と不可分の関係にあるため、許可の審査に
 おいても実質的要件の調査ということが非常に重要視されております。

5、帰化の実質的要件
 帰化の要件については、既に概略を説明しておりますが、それぞれの要件
についてもう少し掘下げて考えてみたいと思います。
帰化の要件は通常、形式的要件と実質的要件の2つに分けて考えられます。
法文上別段に形式的要件と実質的要件の区別が為されている訳ではありませ
んが、いわば形式的要件とは、帰化許可の前提要件となる帰化許可申請行為
が適法・有効なものかどうかの判断基準であり、法務局での申請受付時にお
ける書面審査の基準になるものといえます。それに対して実質的要件とは申
請受付後、法務局等の調査担当官が実地調査により収集した資料に基づき帰
化許可の可否を判断する際の基準になるものといえます。
 形式的要件とされるものを列挙しますと、「申請者適格(外国人であるこ
と)」「申請の方式(書面によること)」「申請能力(意思能力を有するこ
と)」「帰化意思(日本国籍を取得したいという意思があること)」「管轄
(住所地管轄の法務局に申請すること)」「申請者出頭(本人が出頭するこ
と)」の6つが挙げられます。
 また実質的要件としては、「住所要件」「能力要件」「素行要件」「生計
要件」「重国籍防止要件」「不法団体等不加入要件」「同化」「動機」「心
身の健康状態」「身分及び生活関係」等があり、これらが厳しくチェックさ
れます。
 私たち行政書士としては、申請書が受理された段階で一応の仕事は終わる
わけですが、依頼者の立場に立った場合、それから本格的な審査が始まるわ
けですから、実質的要件まで踏まえた上で適切な書類を作り、また的確なア
ドバイスをしてあげられることが必要であり親切でもあると思います。
 実質的要件の調査は、対人調査(現地調査)と官公庁への照会とによって
行われますが、対人調査の内容は、調査担当官が本人の自宅を訪問する本人
調査、友人・知人その他調査対象となった事実についての関係者調査、近隣
者による風評を収集する近隣調査、勤務先・通学先調査、取引先調査等があ
ります。
また、思想・政治活動については公安調査庁に、前科関係については検察庁
に、外国人登録関係については入国管理事務所に、道路交通法違反その他の
素行関係については警察署に、納税状況については税務署に、各種事業の許
認可については県庁や市町村役場にそれぞれ照会が為されます。これらの実
質的調査により申請者のプライバシーは白日の下に晒されることになります
が、調査拒否による不利益は申請者自身が負うほかないものといえます。

 前置きが長くなりましたが、実質的要件個々の説明に入りたいと思います。

@【住所要件(5条1号)】
 継続して5年以上日本に居住することが帰化の第1条件とされていますが、
 日本の出入国管理行政は外国人の在留期間を原則として最長3年に限って
 いるため、旅券を持って日本に入国してきた一般外国人は、在留期間の更
 新がなされないかぎり、この要件を充たすことは出来ません。
 海外からの移民を受入れないとする出入国行政の基本的な考え方と日本人
 の血脈を受けていない者をなるべく日本国家の構成員から排除するという
 血統主義の国籍原理がここに強く現れているものといえます。
 この継続在住5年が帰化の要件とされている理由については、普通次のよ
 うに説明されております。(イ)日本社会の一員となるための同化には、
 この程度の順応期間が最低限必要である。(ロ)日本人として受け入れる
 のに相応しい人物かどうかを全人格的に評価するためには、少なくとも過
 去5年間の生活状況を調査する必要がある。(ハ)5年間以上日本に住ん
 でいることで、一応日本に永住の意思があるものと推測することができ、
 この条件を付すことにより間接的に方便帰化を防止することができる。
 なお、帰化申請者全体の9割以上を占めている在日朝鮮人については、5
 歳以上の者であれば当然にこの要件を満たしていることになるので、初め
 から問題とはなりません。(5歳未満の者も、親と同時に申請した場合に
 は、親の帰化が許可された時点で「日本国民の子」ということになるため、
 国籍法第8条第1項により帰化が認められます。)

A【能力要件(5条2号)】
 本号の趣旨は、日本法が成年とする満20歳以上で、しかも本国法上も行
 為能力者でなければならないとするものですが、禁治産宣告等の問題を除
 けば、結局は満20歳以上であり、かつ本国法上の成年年齢に達している
 かどうかの要件としてとらえればよろしいかと思います。
 韓国法では成年年齢は日本法と同じく20歳以上となっており、中国法で
 は18歳以上となっているため、在日朝鮮人や中国人の場合には満20歳
 以上であればまず問題はないといえます。
 なお現行の帰化実務では、家族揃っての帰化申請でなければ原則として許
 可しないという方針がとられており、その便宜を図るために国籍法上の簡
 易帰化(第8条)や法定代理帰化(第18条)の制度を拡大して運用して
 いるようです。すなわち未成年者の帰化申請に関しては、本来ならば、5
 条2号の能力要件を具備する親が帰化して日本国民となり、その後その子
 供である未成年者が8条該当者(日本国民の子)となって能力要件不要の
 簡易帰化を申請することになるわけですが、実務上は手続きの便宜を図っ
 て、親子の同時申請が認められています。
 15歳未満の者の申請については、第18条で法定代理人(親権者等)が
 代わってするものと定められていますが、一度帰化の許可が為されると、
 その効果は不可変更的に確定し、その者が成年に達してから再考できる制
 度が国籍法上規定されていない点、問題が残るといえます。

B【素行要件(5条3号)】
 申請者の遵法精神や社会的義務観念を判定するという名目で、道路交通法
 違反・納税状況・前科・暴力団関係・各種事業の許認可・生活態度や生活
 状況等が調査されます。
 そして不許可になるケースのほとんどは、この素行要件に抵触することが
 原因となっており、そのうちの大部分が道路交通法違反であるといわれて
 います。
 よくどの程度の交通違反があると許可されないのかとの質問を受けますが、
 私の実務経験から見る限り、軽微な駐車違反やスピード違反程度であれば、
 それほどの影響はないものと思われます。
 ただ軽微な違反でも、それが頻繁に行われるような場合には不許可の原因
 となりますので、事前に法務局の担当官に相談するのが安全だと思います。
 素行要件の存在理由は、日本の社会秩序の保全のために、素行不良な外国
 人を日本社会から排除することにあるといわれています。
 しかし在日朝鮮人のような特別永住者の場合には、帰化の可否にかかわら
 ず、もともと日本社会に腰を据えており、また現実に本国へ送還すること
 もほとんど不可能に近いため、この素行要件の存在意義は乏しいものとい
 えます。
 前の説明の中で、「帰化申請者の大部分が在日朝鮮人であるため、日本の
 帰化行政は必然的に在日朝鮮人処遇政策としての性格を有する」旨述べま
 したが、現実の事務となると一般の外国人の場合と在日朝鮮人の場合とを
 一律に処理せざるをえない面があり、素行要件の無意味性も、政策と現実
 とのギャップから生ずる現象であるといえます。

C【生計要件(5条4号)】
 経済的に自立できない者は国の負担となるので、そのような者の帰化を防
 ぐために設けられた要件だとされています。具体的にどの程度の収入や資
 産があればよいかについては、はっきりした基準はありませんが、特に多
 くある必要はなく、将来にわたっても公共の保護等を受けずに普通の生活
 を営んでいける程度であれば大丈夫だろうと考えられます。
 また収入や資産だけでなく、技能・経歴・勤労意欲・健康状態・家族関係
 なども考慮して総合的に判断され、申請者が家族として世帯を構成してい
 る場合には、世帯を単位として判定されるようです。
 ただ素行要件の場合と同様、特別永住者についてはどのみち退去強制はで
 きず、貧困者は既に公共の負担となっているため、この要件についても存
 在の意義は乏しいものといえます。そして、むしろ日本国籍のないことに
 伴う不安定な生活の状況があるからこそ、帰化を希求する現実があるとい
 えます。

D【重国籍防止要件(5条5号)
 二重国籍の状態が生じないよう、無国籍者か日本の国籍取得によって当然
 に自国籍を失う者に限って帰化を認めようとする趣旨の要件です。
 大部分の国では自国民が外国に帰化した場合には当然に国籍を失うことと
 されているため特に問題はないようですが、外国の国籍を取得した後でな
 いと自国籍の喪失を認めない国(ニュージーランド等)や未成年者につい
 ては自国籍の喪失を認めない国(ベルギー、インド、ブラジル等)がある
 ため、依頼を受けるにあたっては申請者の属する国の国籍法を確認する必
 要があるといえます。
 帰化申請者の大多数を占める在日朝鮮人の場合については、韓国と北朝鮮
 とでは、それぞれの国籍法に定める国籍喪失条項の内容はまったく様相を
 異にしています。すなわち大韓民国国籍法第12条は「大韓民国の国民で
 あって、次の各号の1に該当する者は、国籍を喪失する。」として第4号
 で「自己の志望によって外国の国籍を取得した者」を掲げ、外国への帰化
 の場合の国籍当然喪失の旨を規定しているため、日本への帰化については
 別段支障はないものといえます。
 それに対し、朝鮮民主主義人民共和国国籍法第10条は「朝鮮民主主義人
 民共和国への入籍、またはそれからの除籍は、本人の請願によって朝鮮民
 主主義人民共和国最高人民会議常任委員会が決定する。」と規定しており、
 除籍の決定を受けなければ国籍を失うことができないことになります。
 したがって北朝鮮籍の者が日本へ帰化するためには、予め請願をして除籍
 の決定を受け、いったん無国籍者になった後に帰化申請をすることになり
 ます。北朝鮮の現状では、除籍の決定を受けること自体まず不可能である
 ため、これを単純に考えていく限り、北朝鮮籍の者は日本へ帰化すること
 はできないという結論に到達します。
 このあたりの事情から「北朝鮮籍の者は帰化できない」と一般に言われて
 いるようですが、現実の帰化行政の扱いでは結果的には必ずしもそうでは
 ないものと考えられます。
 まず在日朝鮮人の国籍の表示方法として、南北朝鮮を区別することなく、
 原則として「朝鮮」という呼称を用い、本人の希望があれば「韓国」とし
 ても構わない扱いがされています。
 また日本政府が承認している政府の法律をその本国法とする前提の下に、
 従来より南北朝鮮人を区別しないで、大韓民国法を在日朝鮮人に適用して
 きています。
 さらに国籍の認定について、他の外国人の場合のように正式な国籍証明書
 の提出を要求することはせず、朝鮮の戸籍謄本で代用することとし、それ
 が入手できないときには、それまでの生活事実によって認定するものとさ
 れています。帰化申請に際して在日朝鮮人等の場合には、本国戸籍謄本の
 提出が要求されますが、現実には請求してもなかなかとれないことも多く、
 そのような場合には、その請求したことを証明する資料を提出すれば足り
 るという扱いがされています。
 以上のことから、北朝鮮籍であるということ自体は帰化申請においては結
 果的には障碍とはならないわけですが、このあたり在日朝鮮人の人達自身
 からも誤って認識されているように思われます。
 私の事務所では今まで、北朝鮮籍だという人からの依頼を受けたことはあ
 りませんが、これは本人が北朝鮮籍であること、戸籍謄本を提出できない
 こと等の理由で、帰化申請を諦めていることが多いからではないかと考え
 られます。また今までに、戸籍謄本がとれないまま申請して許可を受けた
 人達の中にも、実際には北朝鮮籍であったという人が何人かいるのではな
 いかと思われます。

E【憲法擁護要件(5条6号)】
 これは、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを
 企て」るような団体等を結成又はこれに加入したことがないことが必要だ
 とするものです。前に述べたように、日本の帰化行政が在日朝鮮人の同化
 政策としての性質を強く帯びていることを考えるとき、それを脅かすよう
 な者の帰化を未然にくい止める意味で、行政側としては最も念入りにチェッ
 クすべき部分であろうと考えられます。
 具体的には、帰化調査の申請者との面接時に、総連(在日本朝鮮人総連合
 会)や日本共産党との関係(暴力革命路線の当時)についての質問が為さ
 れることが多いようです。

F【その他の要件】
 国家の自由裁量に任せられるため国籍法上明文の規定はありませんが、帰
 化の重要な審査項目として「日本社会への同化」と「帰化の動機」の2つ
 が挙げられます。
 まず「同化」とは、「外国人が日本社会の生活に馴染み、その風習・生活
 様式等を自分のものとして完全に取り入れ、以前の生活様式を退化させて
 いること」というふうに定義付けられていますが、居住環境・生活様式・
 交際の範囲・本国との交渉・日本語の読み書きの程度等、生活の外形的な
 面が審査の対象となります。これについても在日朝鮮人に関しては、二世
 以降の申請者が大半を占めている今日、ほとんど問題になることはないと
 考えられます。
 次に、「帰化の動機」が実質的な帰化条件の1つとされるのは、いわゆる
 方便的帰化を防ぐためであるとされています。すなわち、単に日本のパス
 ポートを取得するためだけの手段としての帰化や、強制退去を免れる手段
 としての帰化等、本来の法制度を別の手段として利用されることを防ごう
 とする趣旨だと考えられます。したがって、申請の添付書類として提出す
 る「帰化の動機書」そのものはあくまで参考程度の意味しか持たず、実際
 の調査・審査に当たっては、申請者のそれまでの経歴・言行・周囲の人物
 評価等を材料として本当の動機を探っていくこととなります。
 帰化の動機には日本国への忠誠心という積極的な帰化意思を伴っている必
 要があるという見解が一部にありますが、実際上の扱いは「子供の将来を
 考えて日本国籍を取得したい」とか「差別から逃れたい」というような消
 極的な意思さえあればよいものとされています。


6、帰化の行政処分としての性質
 通常、行政庁の処分に対し不服がある場合は、行政不服審査法によって審
査請求または異議申立てをすることができます。しかし帰化に関する処分に
ついては、国家による絶対的な自由裁量行為と解釈されることから、行政不
服審査法の適用を受け得ないこととなります。(行政不服審査法第4条1項
10号)また平成6年10月より施行された行政手続法においても、同様の
理由から帰化に関する処分や行政指導は適用除外とされています。(行政手
続法第3条1項10号)
ただ、帰化の不許可処分について行政不服申立は出来なくても、行政事件訴
訟で争う途まで閉ざされているわけではないとする判例があり、帰化に関す
る処分は国家の絶対的な自由裁量であるとの従来の解釈に反省を迫るものと
して評価を受けています。(東京高裁昭和47年8月9日)
なお、帰化の許可は官報告示によってはじめてその効力を生じますが(国籍
法第10条2項)、いったん許可が為されると、もはや申請者本人によって
も法務大臣によっても覆すことはできません。しかし、官報告示前であれば、
申請者は自由に帰化意思を撤回(即ち申請の取下げ)をすることができます。


7、帰化の効果
 帰化を許可され、日本国籍を取得して生じる効果としては「本国との法的
関係の切断」「国内居住権」「参政権、政治的表現活動の自由」「公務員就
任権」「資格制限の解消」「社会保障の完全適用」等が挙げられます。
また帰化して日本の戸籍を持つことによる「日本社会の差別と偏見からの解
放」ということも事実上の効果として挙げられるかと思います。
「本国との法的関係の切断」については、例えば在日朝鮮人の場合、帰化に
よって日本国籍を取得すると、韓国国籍法の中の原国籍当然喪失条項により
自動的に韓国の国籍を喪失することとなり、韓国政府の外交保護権も消滅し
ます。しかし、北朝鮮の国籍法に照らして考えた場合は、日本に帰化した者
も本国の最高人民会議常任委員会の除籍の決定がない限り、依然として北朝
鮮の国籍をも保持していることとなります。現状では、日本の帰化行政は北
朝鮮の国家意思・法制度を無視した上になり立っているため、この点に関し
ての問題は生じませんが、将来、国交関係が樹立した場合には解決を迫られ
る問題として浮上してくることが予想されます。
 帰化の効果として挙げられるいくつかのうち、「参政権」と「公務員就任
権」については、この川崎市において平成8年から、在日外国人施策の転換
点ともいうべき動きが進められています。
すなわち(一)市が職員採用試験における受験資格の国籍条項を原則として
撤廃する方針を固めたこと、(二)地方参政権に代わる仕組みとして、外国
人の声を行政に取り入れる「外国人市民代表者会議」の設置に踏み出したこ
とが注目されます。川崎市には九千人にのぼる在日朝鮮人がいるため、彼ら
に対する差別問題は市行政の重要な課題となっており、これまでも指紋押捺
拒否者の告発見送りや、国民年金の支給対象から漏れた在日一世に対する福
祉手当の実施等の外国人施策に取り組んできており、全国にも大きな影響を
与えています。
 ただ、公務員採用や地方参政権の問題は、本来は国が対応すべき問題であ
るため、一自治体としての取り組みというだけでは実効性の点で疑問の残る
ところであり、今後の国による積極的な施策が必要であると考えられます。

8、許可後の手続
 帰化許可後の手続の流れは次のとおりです。
@官報での(帰化許可の)告示
      ↓
A本人への許可通知及び法務局長からの「帰化者の身分証明書」の交付
      ↓
B市町村役場への帰化届(官報告示の日から1ヶ月以内)
C外国人登録証明書の返納(官報告示の日から14日以内)
      ↓
D新戸籍の編製・住民票の作成
E外国人登録原票の閉鎖

 なお、官報告示は当初、原国籍・出生地・住所・氏名・生年月日の5項目
の表示がなされていましたが、昭和46年以降は住所・氏名・生年月日の3
項目のみの表示に変わっています。


9、新戸籍の内容について
 帰化届によって編製される新戸籍には、帰化年月日、届出入籍年月日、原
国籍、従前の氏名が記載されますが、当初は婚姻や養子縁組等による新戸籍
の編製、また他の戸籍への入籍の場合、さらに転籍の場合においても、これ
らをすべて移記すべきこととされていました。
しかし、帰化者の側から「帰化後の戸籍から元朝鮮人であることを分からな
いで済むようにして欲しい」という要求が多く出ていたことから、昭和35
年12月16日の法務省令第40号によって、帰化事項は最初の戸籍にだけ
記載し、その後、転籍等の戸籍の変動があった場合には移記することを要し
ないとする扱いに変わりました。したがって、違う役場の管轄地に転籍さえ
すれば当初身分事項欄に記載されていた帰化事項は消えることとなります。
ただ、父母欄の記載には「李」「金」「朴」等の一見して朝鮮人と分かる姓
名が残るため、現状では未だ彼らの要求に応じ切れているとは言えません。
 なおこれに関連して「創氏改名による氏名認定」という便法が認められて
います。
すなわち、「@本人またはその父母がかつて日本統治下において日本式姓名
に改名し、Aその日本式姓名を継続して常用しており、なおかつBその常用
の事実を証明する資料がある」場合には、その日本式姓名をもって氏名の認
定をするというものであり、これによって父母欄から元朝鮮人であったこと
が分かってしまうという不都合を避けることができます。
しかし、この「創氏改名による氏名認定」も、日本式姓名の常用の事実の証
明資料がなければ認められないため、実際上この便法の恩恵に浴することが
できるのは、ごく少数であろうと考えられます。


10、終わりに
 日本で生まれ、日本で育ちながら、たまたま国籍が違うというだけで、ふ
つうの日本人とは違った扱いを受ける在日朝鮮人たちの心情を本当に理解す
ることは到底出来ないことでしょう。
しかし、せめて彼らの苦痛を少しでも和らげる対症療法の担い手として、こ
れからも帰化申請という仕事に関わっていきたいと思います。

 

  

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