平成27年6月17日に風営適正化法の一部を改正する法律案が可決されました。
これにより、公布から1年以内(ダンス規制については公布時に廃止)に施行される
ことになります。
今回の改正で新たに加わった営業形態に「特定遊興飲食店営業」があります。
これは、「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる
営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間に
おいてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。」と規定される
営業です。
この特定遊興飲食店営業と類似する営業形態の区分を次のとおりまとめてみました。
【深夜営業等に関する区分】
・特定遊興飲食店営業(深夜+酒類提供+遊興+10ルクス超)・・・許可制
*無許可営業の場合は「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金または併科」
・深夜酒類提供飲食店営業(深夜+酒類提供+20ルクス超)・・・届出制(従来通り)
*特定遊興飲食店営業の許可を取らずに遊興させた場合は「2年以下の懲役若しくは
200万円以下の罰金または併科」(従来は罰則なし)
・深夜営業しない飲食店(酒類提供+遊興+10ルクス超)→ 許可・届出不要
*10ルクス以下で営業する飲食店の場合は風営許可が必要
・酒類提供しない深夜飲食店(深夜+20ルクス超)→ 許可・届出不要
なお一部行政書士のサイトで特定遊興飲食店営業の許可を取れば堂々と深夜の
接待営業出来るような記述がありますが、これは「接待」と「遊興」を混同したもの
であり、特定遊興飲食店営業の許可を取っても深夜の接待営業が許されるわけでは
ありません。
また、特定遊興飲食店営業は一般の「風俗営業」とは別の種別に分類されます。
風営適正化法及び改正法は準用条文等の羅列が多くて、非常に分かりにくくなっています。
私自身の理解のために特定遊興飲食店営業関連の部分を整理してみました。
よろしければ、ご参照下さい。
↓
http://jhitomi.com/tokuteiyukyou.pdf
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9月18日、警察庁により風営法令の改正案が公表されました。
・改正法施行に伴う関係政令の整備に関する政令
・風営法施行規則の一部を改正する規則
・許可申請書の添付書類に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令
・電磁的方法による保存に関する基準の一部改正の件
改正案の内容は上記の通りですが、特に今般新設される特定遊興飲食店営業に
関する規定が注目されます。
具体的には今後各都道府県の条例制定により運用されることになりますが、その
条例の基準が次のように定められています。
【特定遊興飲食店営業の設置が許容される地域指定の基準】
・風俗営業等密集地域(1平方キロメートルにつき概ね300店舗以上)または
深夜過疎地域(深夜、1平方キロメートルにつき概ね100人以下の人が居住)
・住居集合地域以外の地域またはそれに準ずる地域以外の地域
・住居集合地域等に隣接しない地域
・保全対象施設が概ね100m以内にない地域
上記のいずれにも該当する地域であることが求められます。
つまり、従来の風俗営業の地域規制とほぼ同様な内容になるものと考えられます。
【特定遊興飲食店営業の営業禁止時間についての基準】
・午前5時から午前6時の間の時間
・深夜から引き続き営業する場合、午前6時から午前10時までの間の時間
*通勤・通学への影響を考慮した制限のようです。
【特定遊興飲食店等深夜営業の騒音・振動の規制についての基準】
(騒音)
・特に静謐保持を必要とする住居集合地域→45デシベル以下
・商店集合地域等→50デシベル以下
・その他の地域→55デシベル以下
(振動)
・55デシベル以下
【特定遊興飲食店営業に該当しない営業】
・10ルクス以下で営業するもの → 風俗営業の許可が必要
・深夜は営業しないもの → 許可不要
・深夜は酒類を提供しないもの → 許可不要
・深夜は客に遊興をさせないもの → 深夜酒類提供飲食店営業の届が必要
【特定遊興飲食店営業の定義の解釈案】
・「遊興させる」の意義、「営業」の意義、「設備を設けて」の意義について
それぞれ警察庁による解釈案が公表されています。
警察庁パブリックコメントページより転載
↓
http://jhitomi.com/tokuteiteigi.pdf